今回は求電子置換反応について学んでいこう。
なにやら難しい名前だけど分解すればなんてことはありません。
求 電子 置換 反応
電子を求める置換反応ということ。
ベンゼンのニトロ化なら、水素が抜けてニトロ基に置き換わる。
これが置換反応。
(すべての炭素上に水素がついていますが省略しています)
ベンゼン環をニトロ化するには濃硝酸と濃硫酸の混合物(通称:混酸)を使います。以下の平衡によりニトロニウムイオンNO2+が生成します。
2 H2SO4 + HNO3 → 2 HSO4− + NO2+ + H3O+
このニトロニウムイオン、陽イオンだね。
つまりマイナスの電荷を持つ電子を求める。
というわけでこのニトロニウムイオンNO2+を「求電子剤」と言います。
この求電子剤によって引き起こされる置換反応が、「求電子置換反応」というわけです。
ベンゼン環のニトロ化が求電子置換反応なのは分かった。
ではこれはどのように進行するのか。
まず求電子剤であるニトロニウムイオンNO2+がベンゼン環(電子が豊富)に攻撃を仕掛けます。
これによってカルボカチオン中間体が生成。
しかしコイツは非芳香族性なので元の芳香環より不安定です。
元の芳香環に戻った方が安定なのでニトロニウムイオンがくっついたところの炭素から水素が抜けます。
これで芳香族性が元に戻り置換反応が完了。
芳香環への求電子置換反応はこのようにして進行します。